新しい在留資格「特定技能」についての最新の情報
新しい就労資格である「特定技能」に関して、アップデートの情報をお届けします。
2019年2月8日に法務省より、”新たな外国人材の受入れについて”という文書が公表されました。
この文書により、「特定技能」に関する制度設計が明確になりましたので、これについて解説してみたいと思います。
本文書のポイントとなる点は下記の事項です。
- 特定技能1号と特定技能2号とは何か。
- 受入れ機関の要件(受入れ機関とは外国人を採用する企業のことで、要は外国人を雇用する会社のことです。)
- 登録支援機関の要件(登録支援機関は受入れ機関からの委託を受けて、外国人を支援する業務を行います。)
- 海外から外国人を採用する場合の全体の流れ(在留資格認定証明書交付申請の対象となります。)
- 国内在留者を採用する場合の全体の流れ(「留学」、「技能実習2号」等から「特定技能1号」への在留資格変更許可申請の対象となります。)
1.特定技能1号と特定技能2号について
特定技能1号 | 特定技能2号 | |
在留期間 | 4か月~1年毎に更新、通算で上限5年 | 6か月~3年毎に更新、期間の上限無し |
技能水準 | 試験を実施(技能実習2号を終了した場合は試験免除) | 試験を実施 |
日本語能力 | 試験を実施(技能実習2号を終了した場合は試験免除) | 試験は不要 |
家族の帯同 | 認めない | 配偶者と子に限り認める |
支援 | 受入れ機関又は登録支援機関による支援の対象 | 支援の対象外 |
2.受入れ機関について
受入れ機関とは外国人を雇用する企業を言いますが、その要件として下記事項を定めています。
基準 | 具体的な基準例 |
外国人と適切な雇用契約を締結していること | 報酬額が日本人と同等以上 |
企業自体の内容が適切であること | 5年以内に出入国・労働法令違反がない |
外国人を支援する体制がある | 外国人の母国語でのコミュニケーションが出来る |
外国人を支援する計画が適切である | 生活オリエンテーションを実施する |
3.登録支援機関について
受入れ機関のみで外国人を支援することが困難である場合には、支援業務を登録支援機関に委託することが出来ます。
尚、支援の全てを登録支援機関に委託することも可能となっています。
登録支援機関は1号特定技能外国人支援計画を策定するなど、受入れ機関のサポートを行います。
登録支援機関になる為の要件として、下記事項を定めています。
登録を受ける為の基準 | 具体的な基準例 |
機関自体の内容が適切であること | 5年以内に出入国・労働法令違反がない |
外国人を支援する体制があること | 外国人の母国語でのコミュニケーションが出来る |
4.特定技能1号に合致する外国人
「特定技能1号」の在留資格を取得するに見合う外国人は下記の通りです。
- 国内に滞在している中長期在留者
試験の有無 | |
留学生(「留学」の在留資格を所持している外国人) | 技能試験及び日本語試験に合格 |
技能実習2号を終了した外国人 | 試験免除 |
- 海外から来日する外国人
試験の有無 | |
過去に技能実習2号を終了した外国人 | 試験免除 |
新規入国予定の外国人 | 技能試験及び日本語試験に合格 |
5.海外から採用する場合の全体の流れ
海外から外国人を採用する場合のフローチャートです。
- 外国人と受入れ機関との間で特定技能雇用契約の締結
- 受入れ機関と登録支援機関との間で委託契約の締結
- 1号特定技能外国人支援計画を策定
- 受入れ機関が出入国在留管理局に対して、在留資格認定証明書交付申請を行う
- 受入れ機関が在留資格認定証明書を受領
- 受入れ機関より外国人へ在留資格認定証明書を送付
- 外国人は在外公館にてビザ申請
- 外国人がビザ受領
- 外国人が入国
6.国内在留者を採用する場合の全体の流れ
国内在留者(留学生、技能実習生等)を採用する場合のフローチャートです。
- 外国人と受入れ機関との間で特定技能雇用契約の締結
- 受入れ機関と登録支援機関との間で委託契約の締結
- 1号特定技能外国人支援計画を策定
- 外国人本人が出入国在留管理局に対して、在留資格変更許可申請を行う
- 在留資格「特定技能1号」へ在留資格変更(「留学」或いは「技能実習2号」⇨「特定技能1号」)
7.登録支援機関の登録要件
登録支援機関の主な登録要件として、下記事項を定めています。
支援責任者及び支援担当者を選任していること |
以下のいずれかに該当していること。
・2年以内に中長期在留者の受入れ実績があること ・2年以内に報酬を得る目的で、業として、外国人に関する相談業務を行った経験があること ・支援担当者が2年以上中長期在留者の相談業務を行った経験があること ・支援業務を適正に実施できると認められること |
登録支援機関の登録に関する詳細は、3月中に法務省のホームページで公表される予定です。
これに関しては、従来の技能実習の管理団体の参入、行政書士或いは社会保険労務士等の士業の参入、新規団体の参入も見込まれると思います。
新しい「特定技能」の制度が、従来の「技能実習」制度との関連において、どのような位置付けになっていくのかも興味があります。
今回の法改正が新規ビジネスとして成立するのかどうか、収益を上げるにはどのような工夫が必要なのか、これから業界を挙げた取り組みが始まると思います。